夢の猥雑

6/4固まる

感覚の無くなった手を必死になって揉みしだいた。現実味を帯びた生々しい夢から覚めきれないでいる。指先をきゅっと小さく折り曲げた。肉薄するリアリティに怯えながら、それでも何とか自分を鼓舞しようと、いつものようなルーチンワークをよどみなくこなしていった。

5/21溺れる

気がつくととろみのある液体の海に沈んでいた。その液はほのかに熱を帯びていて、そのうち体の中まで浸水し、このまま皮膚や臓器が溶け出して消えてしまうのではないかという恐怖を抱いた。今すぐにでもそこから這い出たいと思ったものの、重たいぬめりに足を取られて抜け出せない。しばらくもがいているうちに、何とか顔だけは外に出すことが出来た。首を振って、纏わりついた粘液を飛び散らした。片栗粉を溶かしたみたいだと思いながら、ひとつかみ掬い上げて手を開くと、その液体は指の股からとろりと滑り落ちた。何の臭いもしなかった。初めから分かっていたような胸騒ぎと奇妙な安寧の訪れを何のためらいもなく受け入れて、立ち並ぶビルの上から西日を眺めている。感傷的な淡い光源に包まれながら、ただ浮上と下降の波にたゆたうのは紛れもなく自分だけだと分かった。