渦の中

幸いにも、入り組んだ路地の向こうにあったのは中華料理店だった。ただ、時間が悪かった。店内は結構混雑している。だけど、奥の方に一つだけ席が空いているようだ。ウエイターが雑にメニューと水二つを置いていった。場所が場所なのでそれが当たり前なのかもしれないが、いかにも中華だと言わんばかりの赤い提灯が大量に吊るされている。内装事情は一周回っているのか、天井に巡らされている配管はむき出しだ。店内は、広さの割にはあまり天井が高くない。そのせいか、大きく開いた厨房の方から流れてきた湯気が天井に充満している。やっぱり、大量の提灯がちょっと目障りだ。独特な、しみったれた閉塞感……。ある意味、夢みたいだ。取り敢えずラミネート加工されたメニュー表を手に取って、テキトーに取り分けられるものをいくつか注文する。格安なので多く頼んでも高くつかないだろう。僕が頼んだ大皿料理が次々と運ばれてくるのにも関わらず、この女は手をつける素振りさえ見せない。それどころか、何も喋らない。さっきから携帯電話ばかりかまっている。いつまでこうしているつもりなのだろうか。僕ばかりが、一方的に言葉を浴びせている。 


駄洒落

渦の中→渦中→中華