それはそうなんだけど

実家へ帰る。九月末に終わった夏休みから大体三ヶ月くらいが経っていた。この壁の薄いアパートから約一週間離脱、抜け出せるのだ。ここから僕の地元へ行くには時間もお金も結構かかる。乗り継ぎもある。僕は田舎者なのでJRの電車を汽車と呼ぶのだが、汽車の中では音楽を聞くか伏せって寝るくらいしか時間が潰せないので、スマホの充電と枕代わりのバスタオルは忘れてはならない。そして今日、僕は切符を、特急券を買い直さないといけない。これは本当にどうしてしまったのか、自分でも自分がよく分からない。僕は本当は二十六日の午後三時のぶんに乗って帰るはずだったんだ。だから二十五日にもう荷造りをしておかなきゃならなかった。でもその日は普通に学校があった。疲れていた。溜まった洗濯物を干すべきだったのに、誘惑に負けて、帰ってすぐに昼寝をしてしまった。起きると二十一時だった。もはや昼寝でも微睡みでもない。昼から急にこんな時間になってしまったもんだから、当然腹も減る。僕は夕飯を買いに外に出るべきだった。本当は。だけど出来なかった。だってクリスマスだったから。クリスマスだった。僕が良く行く弁当屋に可愛い子が居る。その弁当屋に僕がクリスマス本番の夜に一人で弁当を買いにいったら、きっとその子は僕の子とを哀れみの目で見るんじゃないか。そんなことをされたら僕はきっとかなり落ち込んでしまうだろう。というか、そもそもたとえ僕がその弁当屋へ行ったとしても彼女はそこに居ないかもしれない。それはシフトのせいなのか、それとも、それとも、その、あれがそうなのかもしれない。そう、男が居るのかもしれない。もう切りがない。とにかく僕はその日何もしなかった。荷造りをすることなく、夕飯をとるわけでもなく、洗濯を済ませるわけでもなく、ただ昼寝をした。そして二十一時に起きてしまった僕はそのあと寝られるわけもなく、かといって風呂に入る余力もなく、スマホで何かを見ては忘れ、見ては忘れを繰り返した。早朝に準備すればいいや。自分でもそれは出来ないであろうことが分かっていながら、朝の五時半に目覚ましをセットし、希望的観測を胸に眠りに着いた。翌朝目覚めると時すでに十四時。もう駄目だ。あと一時間で洗濯も荷造りも風呂も部屋の掃除もなんて無理だ。だけどやるしかなかった。風呂にも入ったし、洗濯も、掃除だって出来た。荷造りさえも終わった。はじめから、昨日の夜にこれが出来ていたなら。もしも、を考えるといよいよ、どうして昨日は何も出来なかったんだと疑念がふつふつと沸き上がる。何でだろう。何でだろう、と言っても僕は分かってる。分からないふりをしたいだけだ。二十五日の授業が終わったあと、寝なければ良かった。でもそれじゃないな。