どうにも眠れない

不眠の解消方法の一つとして「眠らなければならない」という気持ちをなくすというようなことがよく挙げられる。しかしそんなことを言われても、ひとたび意識してしまえばその考えを打ち消すことは非常に困難な事であり、意識していること自体を意識することによって余計に想起されてしまって結局堂々巡りになるのがオチである。そんなことを考えながら一応は寝床に就いたものの、やはり瞼を伏せただけではどうにも寝付けない。冷蔵庫のコンプレッサーの音がやけに耳に障った。気晴らしに本を読んだり飲み物を飲んだりしたが、いっこう睡魔は訪れない。むしろ起き上がったせいで目が覚めてしまった。そうして無為な時間を過ごしているうちにあっという間に早朝になってしまうのだった。昨日と今日は地続きであり、意識が途切れることなく続いていく。また眠れなかった。その事実だけでこの一日を乗り切ろうとする気力はすでに半分にまで削られてしまう。それでも僕は僕自身のためにも学校へ行かなければならない。僕は鈍い頭で朝のルーチンワークをこなす。洗面所で顔を洗う。洗面所の曇った鏡にはたいそう醜い僕が映っている。お前は醜いんだ、まぎれもないブ男なんだと内なる自分が僕に言い聞かせているような気がした。朝から自分のコンプレックスを見せつけられることほど嫌なものはない。なんだよ、僕が何をしたっていうんだ。僕の顔がもう少しマトモな顔だったならと何度思っただろう。しかしマトモな顔なら、なんだろう。マトモな顔なら全て上手くいくとでも思っているのか?いく訳ないだろう。ままならない現状の原因をすべて顔のせいにしてしまうのは本当によろしくない僕の悪い癖だ。しかし、よろしくはないが今すぐ止めろと言われてもそれが出来ないのが僕という人間なので仕方がないことなのだと、僕自身にもいい加減納得してもらいたいものである。